こんにちは、けいです。

匿名の質問箱に、こんな質問をいただきました。

「地方国立大学の大学院(教育学研究科)の2年生です。地元・兵庫県の教員採用試験の2次試験で不合格になりました。来年4月から県内で講師をしますが、ある市の教育委員会から、小学校の特別支援学級か特別支援学校の講師をお願いしたいと言われています。周りの友達からは『講師だと給与が低い』と言われました。兵庫県の大学院卒で、小学校の特別支援学級・市立特別支援学校の臨時講師だと、給与は低いのでしょうか。1年目と2年目のおおよその金額を教えてください」

答えを先に言うと、1年目(2027年度)は月312,803円〜327,693円、手取り約26.5万円〜約27.7万円。2年目は月318,285円〜333,437円です(10月14日の人事委員会の勧告どおりに改定された場合)。幅があるのは、学校がある市によって地域手当の割合が3段階あるからで、それ以外のしくみは神戸市以外ならどの市でも同じです。

「講師だから低い」と言われた点については、同じ修士卒・同じ特別支援学級の教諭より月2万円ほど低いのは事実ですが、大卒で通常学級の担任をする講師よりは月1.5万円ほど高い計算になります。大学院の2年分と、特別支援の上乗せがあるからです。差が大きく開くのは、年数がたってからです。

📌 この記事でわかること

  • 市がわからなくても答えられる理由——神戸市以外は「兵庫県の給料表」で同じ
  • 大学院(修士)卒の講師は何号給からスタートするか(規則の根拠)
  • 特別支援学級・特別支援学校の講師に付く「給料の調整額」と、付かない「担任の加算」
  • 1年目・2年目の月給と手取り、ボーナス、年収の目安(地域手当3段階)
  • 「講師だと低い」は本当か——大卒の講師、同じ条件の教諭との比べ

結論:1年目と2年目の月給・手取り(地域手当3段階)

前提は「修士課程を修了してすぐ、2027年4月1日に兵庫県の期限つき講師として採用され、神戸市以外の市の小学校で特別支援学級を担当する人(独身・扶養なし)」です。通勤手当・住居手当などは含めていません。

地域手当(学校がある市町)1年目の月給(額面)手取りの目安2年目の月給(額面)手取りの目安
9.4%(神戸市・尼崎市・西宮市・芦屋市・伊丹市・宝塚市など)327,693円約277,000円333,437円約268,000円
6.4%(姫路市・明石市・川西市)318,759円約270,000円324,346円約261,000円
4.4%(そのほかの県内すべての市町)312,803円約265,000円318,285円約256,000円

特別支援学校(市立)の講師でも、金額はほぼ同じです。使う給料表が「高校の表」になって給料が月200円高く、調整額が450円多いので、合計で月700円ほど高いだけです。

地域手当1年目の月給(額面)手取りの目安2年目の月給(額面)手取りの目安
9.4%328,417円約278,000円333,883円約268,000円
6.4%319,463円約271,000円324,779円約261,000円
4.4%313,494円約266,000円318,710円約256,000円

手取りは、共済掛金(年金・健康保険=月給の約14%)と所得税を引いた目安です。2年目の手取りには、6月から始まる住民税(月約14,000円〜約15,000円)も引いてあります。

📰 金額は、2026年10月14日の兵庫県人事委員会の勧告どおりに給料表が改定された場合です。県議会で条例が改正されてから確定します(例年12月ごろ)。また、来年4月からの採用なので、教職調整額は2027年1月からの6%、特別支援の調整額は2027年1月からの縮減後(約4分の3)で計算しています。

どの市でも同じ——神戸市以外は「兵庫県の給料表」

質問では「某市」と市の名前が伏せてありましたが、市がわからなくても答えられます。理由は、公立の小学校と市立の特別支援学校の先生の給料は、市ではなく兵庫県が払っているからです(「県費負担教職員」といいます)。採用も「市教委にお願いされる」形ですが、辞令を出すのは県教委で、給料の表も手当のしくみも、県の条例・規則で決まります。

例外は神戸市だけです。神戸市は政令指定都市で、2017年から市が自分で給料を払っているので、給料表も手当も市の条例で別に決まっています(神戸市立の学校だった場合で説明します)。

神戸市以外の市で違うのは、地域手当の割合だけです。学校がある市町によって3段階に分かれています。

地域手当学校がある市町
9.4%神戸市(県立学校)・尼崎市・西宮市・芦屋市・伊丹市・宝塚市(明石市・川西市の一部の学校)
6.4%姫路市・明石市・川西市(上の学校以外)
4.4%そのほかの県内すべての市町

つまり「神戸市以外の市で、地域手当が何%か」がわかれば、金額は1つに決まります。この記事の表で、自分の市の行を見てください。

大学院卒の講師は1級29号給から(規則で確認)

兵庫県の規則(公立学校教育職員等の給与に関する規則)の初任給の基準表(別表第3)では、期限つきの講師は大学卒で1級21号給からスタートします。教諭のように「修士課程修了」の欄はありません。

では大学院の2年はどうなるかというと、「修学年数調整表」(別表第9)で修士課程修了は経験年数に+2年と決まっていて、経験年数は1年につき4号給(第9条第2項:月数を3で割った数)上乗せされます。2年×4号給=8号給なので、1級29号給からのスタートになります。

区分スタートの号給給料(勧告どおりなら)改定前(今の表)
講師・大学卒1級21号給265,500円255,100円
講師・修士課程修了1級29号給275,000円264,800円
教諭・大学卒2級17号給276,000円265,400円
教諭・修士課程修了2級29号給292,400円281,800円

修士の講師(1級29号給)は、大卒の教諭(2級17号給)とほぼ同じ給料からのスタートです。「講師だから低い」のイメージとは、少し違うと思います。

💡 ただし、期限つき講師の号給は規則第9条第3項で「予算を考慮して」決めるとされています。この記事は規則どおり+8号給で計算していますが、実際の号給は採用時に届く通知で確認してください。学部卒業後にアルバイトなど別の経歴がある場合も、換算されることがあります。

1年目の月給の内訳——6つの足し算

地域手当4.4%の市で、小学校の特別支援学級を担当する場合(1年目・2027年度)の内訳です。

内訳金額計算のしかた
給料(基本給)275,000円1級29号給(小中学校の表・勧告どおり)
給料の調整額(特別支援)6,300円特別支援学級の担任(1級)8,400円の4分の3(2027年1月から縮減・目安)
教職調整額16,500円給料の6%(2027年1月から。残業代の代わり)
地域手当13,103円(給料+調整額+教職調整額)× 4.4%
義務教育等教員特別手当1,900円規則の表の額(1級29〜32号給)
学級担任の加算0円特別支援学級の担任は対象外(下で説明)
合計312,803円手取りの目安 約265,000円

教職調整額は、2026年1月に5%、2027年1月に6%、そのあと毎年1%ずつ2031年の10%まで上がる予定です。1年目の途中(2028年1月)に7%になるので、2年目の表は7%で計算しています。

特別支援の上乗せ「給料の調整額」と、2027年1月からの縮減

特別支援学校の先生と、特別支援学級の担任には、兵庫県の条例第14条で「給料の調整額」という上乗せがあります。規則の別表第14で級ごとの定額が決まっていて、講師(1級)は特別支援学校で9,000円、特別支援学級の担任で8,400円です(教諭は11,100円・11,000円)。

この調整額は条例で「給料」に含まれるので、地域手当とボーナスの計算のもとにも入ります。そのかわり、通常学級の担任に付く2,000円の加算は、特別支援学級の担任には付きません(規則第41条第3項で「特別支援学級を除く」)。特別支援学校には、そもそも学級担任の加算がありません。

気をつけたいのは、この調整額が2年かけて半分になることです。国の方針で、2027年1月に今の約4分の3、2028年1月に半分へ下がる予定で、兵庫県も同じスケジュールで労使が合意しています。質問の方の1年目は縮減後、2年目はさらに半分の額になります。

時期講師・特別支援学級(1級)講師・特別支援学校(1級)
今(2026年)8,400円9,000円
2027年1月〜(1年目)約6,300円約6,750円
2028年1月〜(2年目)約4,200円約4,500円

縮減後の額は「今の額×4分の3・2分の1」の目安で、兵庫県の規則の改正で端数が変わる可能性があります。調整額のしくみは特別支援学校・特別支援学級の先生の給料の記事にくわしく書きました。

2年目に変わること——昇給・調整額・教職調整額・住民税

2年目(2028年度)は、次の4つが変わります。地域手当4.4%の場合で並べました。

変わること1年目2年目月給への影響
号給(1年分の経験で+4号給)1級29号給 275,000円1級33号給 279,300円+4,300円
特別支援の調整額(2028年1月から半分)約6,300円約4,200円−2,100円
教職調整額(2028年1月から7%)6% 16,500円7% 19,551円+3,051円
住民税(6月から)0円月約14,000円手取りが減る
月給(額面)312,803円318,285円+5,482円
手取りの目安約265,000円約256,000円約9,000円減る

額面は上がるのに、手取りは下がります。学生だった1年目は住民税がゼロで、2年目の6月から「1年目の4〜12月に働いた分」の住民税が始まるからです。これは講師でも教諭でも同じで、知らないと「2年目なのに手取りが減った」と驚くところです。住民税のしくみは住民税の課税通知書の記事でどうぞ。

⚠️ 期限つき講師は、年度ごとに任用が切れて、翌年度にあらためて任用されます。2年目の号給は「講師1年の経験」を経験年数として換算し直して決まるので、ふつうは+4号給です。ただし任用が途中で切れた期間があると、その分は換算されません。

ボーナスと年収の目安

ボーナス(期末手当・勤勉手当)は、勧告どおりなら年4.70か月分です。計算のもとになるのは、給料+調整額+教職調整額+地域手当で、特別手当は入りません。1年目の6月は在職2か月なので、約3割だけです。

時期地域手当4.4%6.4%9.4%
1年目の6月(約3割)約22万円約22万円約23万円
1年目の12月(満額)約73万円約74万円約77万円
1年目の年収(月給12か月+ボーナス)約470万円約479万円約493万円
2年目のボーナス(年4.70か月)約149万円約152万円約156万円
2年目の年収約531万円約541万円約556万円

1年目は6月のボーナスが少ない分、年収は470〜490万円台。2年目から530〜560万円台になります。

⚠️ ボーナスは6月1日と12月1日に在職していることが条件です。任用の期間がこの日をまたいでいるか、辞令で確認してください。

「講師だと低い」は本当か——大卒の講師・教諭との比べ

同じ2027年度・地域手当4.4%で、3人を並べてみます。

比べる相手(2027年度・4.4%)月給(額面)質問の方との差
大卒の講師・通常学級の担任(1級21号給・担任加算2,000円あり)297,512円質問の方が+15,291円
質問の方:修士卒の講師・特別支援学級(1級29号給)312,803円—
修士卒の教諭・特別支援学級(2級29号給・調整額約8,250円)334,294円質問の方が−21,491円

「講師だから低い」というのは、同じ条件の教諭と比べれば月2万円ほど低いという意味では本当です。でも、大学院を出て特別支援を担当する分、大卒で通常学級を持つ講師より月1.5万円ほど高いのも事実です。1年目・2年目のスタート時点では、「講師だから生活できないほど低い」ということはありません。

本当の差が出るのは、年数がたってからです。講師(1級)は45歳ごろに上限(小中学校の表で113号給)に届いて止まりますが、教諭(2級)は55歳まで上がり続けます。45歳で月8万円以上、生涯では数千万円の差になります。くわしくは講師の給料の上限の記事と一生講師でも生活できる?の記事をどうぞ。

💡 講師の経験年数は、採用試験に合格して教諭になったときの初任給に加算されます。講師の年数は無駄になりません。給料の面でいちばん大きな「昇給」は、やはり採用試験の合格です。

神戸市立の学校だった場合

もし「某市」が神戸市なら、神戸市教育委員会の採用で、給料表も手当も市の条例・規則で決まります。市の初任給の規則では、講師(任期あり)は大卒で1級21号給。修士の扱いも同じ考え方なら1級29号給で、市の今の表(2025年度給ベース)では260,400円です。

神戸市(市の今の表・目安)月給(額面)内訳
1年目(1級29号給・2027年度)約317,500円給料260,400円+調整額約5,900円(2.25%)+教職調整額6%+地域手当12%+教員特別手当1,800円
2年目(1級33号給・2028年度)約323,900円給料265,000円+調整額約4,000円(1.5%)+教職調整額7%+地域手当12%+教員特別手当1,900円

神戸市は地域手当が12%と高く、特別支援の調整額は定額ではなく「給料の3%程度→2.25%→1.5%」と割合で決まっています。市も今年の勧告(9月16日・3.59%引上げ)で給料表が上がる見込みなので、実際はこの表より1万円前後高くなるはずです。神戸市の講師の給料は神戸市の講師と教諭、給料の差はどのくらい?にまとめています。

よくある質問

Q. 特別支援学級と特別支援学校、どちらが給料は高いですか?

A. ほぼ同じで、特別支援学校のほうが月700円ほど高いだけです(給料表が高校の表になって200円、調整額が450円高い)。給料で選ぶ差ではないので、通勤や、やってみたい仕事で選んで大丈夫です。

Q. 特別支援学級の担任なのに、担任の加算2,000円は付かないのですか?

A. 付きません。規則で「特別支援学級を除く」と決まっています。そのかわりに調整額(1級で8,400円→縮減後約6,300円)が付くので、2027年度は通常学級の担任より月4,000円ほど多くもらえる計算です。

Q. 不合格だった2次試験は、講師をしながら受け直せますか?

A. もちろんです。講師をしながら受ける人はとても多く、講師の年数は合格後の初任給に加算されます。講師の経験者向けの特例(試験の一部免除など)を設けている自治体もあるので、来年の実施要項で確認してください。

Q. 金額はいつ確定しますか?

A. 県議会で給与の条例が改正されてからです(例年12月ごろ)。地域手当の割合も、勧告で「適切に措置する」とされているので、変わる可能性があります。条例が改正されたら、この記事も更新します。

まとめ

✅ 大学院卒・特別支援の講師(兵庫県)の給料、3行まとめ

・神戸市以外なら、どの市でも兵庫県の給料表で同じ。違うのは地域手当(9.4%・6.4%・4.4%)だけ
・修士卒の講師は1級29号給から。1年目は月312,803円〜327,693円(手取り約26.5万円〜約27.7万円)、2年目は月318,285円〜333,437円(住民税が始まって手取りは微減)
・同じ条件の教諭より月2万円ほど低いが、大卒・通常学級の講師より月1.5万円ほど高い。差が開くのは年数がたってから。講師の年数は合格後の初任給に加算される

質問をくださった方、ありがとうございました。2次試験は残念でしたが、特別支援の経験は、合格後にも必ず生きます。来年4月、いいスタートになりますように。

💌 先生のお金の質問、匿名で受け付けています
この記事も、匿名の質問箱に届いた質問から生まれました。給料・手当・NISA・保険……職員室では聞きにくいことも、匿名・登録不要でどうぞ。→ 匿名で質問をおくる

出典(公式データ)