「福岡の先生って、40歳でいくら?」に答えてみる
47都道府県の教員給料シリーズ、東京・大阪・神奈川・愛知に続く第5弾は福岡県です。人口増が続く福岡市を中心に、九州の経済・人・企業が集まる「元気な街」として知られています。「勢いのある福岡の先生は、給料も高いの?」——調べてみると、基本給は上位なのに、年収は意外な結果になりました。
このシリーズは、県ごとの比較ができるように「大卒22歳で採用されて、40歳になったとき」に揃えて計算しています。福岡県も年齢別のモデル年収は公表していないので、今回は県の給料表から40歳時点の基本給を直接割り出して、給料・ボーナス・手取りを具体的な金額で出していきます。
💡 この記事でわかること
・福岡県の高校教員、40歳の額面年収はいくらか
・手取りにすると、いくら残るのか
・給料・教職調整額・地域手当・ボーナスの内訳
・基本給は上位なのに年収がシリーズ最下位になる理由という「ぶっちゃけ」
結論:40歳で額面 約686万円・手取り 約528万円
先に答えからいきます。福岡県の給料表では、大卒22歳で採用されて18年目=40歳時点の基本給は372,300円。ここに教職調整額(教員全員に支給・給料の5%)・地域手当・ボーナス(年4.65ヶ月)を足して年収を計算すると、次のようになります。
| 項目 | 金額(年・概算) |
|---|---|
| 額面年収(税込) | 約 686万円 |
| └ うち 毎月の給与(12ヶ月分) | 約 494万円 |
| └ うち ボーナス(年4.65ヶ月) | 約 192万円 |
| 差し引かれるもの(社会保険+税) | 約 158万円 |
| 手取り年収 | 約 528万円 |
ざっくり、「40歳・額面686万・手取り528万」。月の手取りにすると31〜32万円、それに加えてボーナスが年2回、というイメージです。手取り率はおよそ77%で、これまでの東京・大阪・神奈川・愛知と同じ水準です。
ここで先に「ぶっちゃけ」を言ってしまうと、同じ40歳で並べたとき福岡はシリーズ4府県の中で最下位になります。愛知(約755万円)・大阪(約724万円)・神奈川(約703万円)より低い。ところが——基本給そのものは、神奈川や東京より高いのです。この「ねじれ」の理由が、今回いちばんの読みどころです。
内訳① 40歳の給料——基本給はシリーズ3位
まず毎月の給与から。40歳時点の内訳はこうなります。
| 項目 | 月額(概算) |
|---|---|
| 給料(基本給・給料表2級81号) | 372,300円 |
| 教職調整額(給料の5%・教員全員に支給) | 約 18,600円 |
| 地域手当(5.4%) | 約 21,100円 |
| 給与月額(上記の合計) | 約 412,000円 |
基本給の372,300円は、福岡県の高等学校等教育職の給料表で大卒22歳採用(2級9号)から毎年4号ずつ18年昇給した「2級81号」の額です。教職調整額は残業代の代わりに教員全員へ一律で支給される上乗せで、2026年1月に4%→5%へ引き上げられました(2031年にかけて段階的に10%へ)。地域手当は「給料+教職調整額」に対して5.4%がかかります。
そしてこの基本給、実はシリーズ5都府県の中で3番目に高い。40歳の基本給で並べるとこうなります。
| 愛知県 | 約 398,000円 |
| 大阪府 | 約 385,000円 |
| 福岡県 | 約 372,300円 |
| 神奈川県 | 約 358,500円 |
| 東京都 | 約 347,700円 |
基本給だけ見れば、福岡は神奈川より約1.4万円、東京より約2.5万円高い。「稼ぐ力のある基本給」なんです。それなのに年収は最下位。犯人は次の地域手当なのですが、その前にボーナスを見ておきましょう。
内訳② ボーナスは年4.65ヶ月
ボーナス(期末手当+勤勉手当)は、2025年の勧告で0.05ヶ月分引き上げられて年間4.65ヶ月分。「給料+教職調整額+地域手当」をベースに計算すると、年間で約192万円(税込)になります。役職段階別の加算(5〜20%)がつく人はもう少し増えます。
これまでの記事でも書いた通り、ボーナスも「給料+地域手当」ベース。地域手当が低い福岡は、ボーナスの計算ベースも小さくなるので、ここでも他県との差がじわっと開きます。
額面→手取り 引かれるものの中身
額面686万円から引かれるのは、大きく分けて2つです。
| 引かれるもの | 年額(概算) | 中身 |
|---|---|---|
| 社会保険料(共済掛金) | 約 99万円 | 年金 約9.15% + 健康 約4.5% + 介護(40歳〜) 約0.9% |
| 所得税・住民税 | 約 59万円 | 給与・ボーナスにかかる税金 |
| 合計 | 約 158万円 | — |
結果、手取りはおよそ528万円。月にならすと毎月の手取りが31〜32万円、ボーナスの手取りが年2回で計150万円前後、というイメージです。
九州最大の都市があるのに…「地域手当5.4%」のぶっちゃけ
ここからが今回の本題です。基本給は上位なのに年収が最下位——その理由は地域手当にあります。シリーズで並べると、福岡の低さがはっきりします。
| 都府県 | 40歳モデルの地域手当 |
|---|---|
| 東京都 | 20%(23区) |
| 大阪府 | 大阪市16%など(地域で差) |
| 神奈川県 | 一律 12.45% |
| 愛知県 | 一律 8.5% |
| 福岡県 | 一律 5.4% |
福岡の地域手当は県内どこで働いても一律5.4%。愛知の「一律8.5%」や神奈川の「一律12.45%」と同じ「ならして一律」方式ですが、水準はシリーズで最も低いのです。基本給の高さ(神奈川・東京より上)を、この地域手当の低さがまるごと打ち消して、年収を最下位まで押し下げています。
ただ、福岡の場合は愛知や神奈川と少し事情が違います。国の基準と比べると、こうなります。
- 福岡市で働く先生:国の基準は6%ですが、県立学校の教員は5.4%。ここは国基準よりわずかに低い。
- それ以外の多くの市町村で働く先生:国の基準は3%や0%の地域も多く、県の一律5.4%はむしろ国基準より高い。
つまり福岡の「一律5.4%」は、福岡市の先生だけがちょっと損をして、県内の多くの地域ではむしろ得という形。県は「教員は県内全域に異動するので、勤務地によって手当が変わると人事異動がやりにくい。だから全域一律が適当」と説明しています。この考え方自体はフェアなので、愛知(トヨタのお膝元なのに8.5%)ほどの「ぶっちゃけ感」はありません。
本当の理由はもっとシンプルで、福岡市の国基準(6%)自体が、東京23区の20%・横浜の16%と比べて低いから。地域手当は「その地域の民間給与の高さ」に連動していて、福岡は元気な街とはいえ、賃金水準では首都圏や中京圏にまだ届いていない——それが数字にそのまま出ている、というわけです。
福岡の先生の給料も、いま「上がり局面」
暗い話ばかりではありません。2025年の福岡県人事委員会勧告は、月例給・ボーナスの両方を引上げる内容でした。
📈 2025年勧告のポイント(福岡県)
・月例給を2.97%(約11,210円)引上げ——民間との給与差を埋めるため
・若年層に重点を置きつつ、全職員の給料表を引上げ
・ボーナスは4.60ヶ月→4.65ヶ月に
公務員の給料は「地元の民間に合わせる」仕組みなので、福岡の民間給与が伸びていけば、先生の給料も上がっていきます。さらに教職調整額も2031年にかけて10%まで段階的に上がるので、基本給の高さ+調整額アップで、じわじわ底上げされていく局面と言えます。地域手当の低さは残りますが、「基本給で稼ぐ型」の福岡は、その基本給が上がるほど効いてくるタイプです。
参考:県の「平均」データ
今回の40歳モデルは「給料+教職調整額+地域手当」で計算しています。教職調整額は教員全員に一律で支給されるためモデルに含め、扶養手当・住居手当など人によって変わる手当は含めていません。
📊 参考:県の公表データ(平均値)
福岡県の高等・特別支援学校教育職の平均給料月額は347,359円(平均40.0歳)、扶養・住居・残業などすべての手当を含めた平均給与月額は約481,000円です。本記事の40歳モデル(給与月額 約41.2万円)は、基本給を「大卒22歳ストレート=2級81号」に固定しているため平均給料(34.7万円)より高め、いっぽうで扶養・住居・残業手当を含めていないため全手当込みの平均給与(48.1万円)より低め、という位置づけになります。平均給料がモデルより低いのは、あとから採用された先生や別の号給の先生も含めた「ならし」の数字だからです。
読むときの注意(前提と計算方法)
- 福岡県は年齢別の「モデル年収」を公表していません:今回は県の給料表から「大卒22歳採用→18年目(2級81号)=40歳」として独自に計算した推計です。
- 「ずっと教諭のまま」の標準モデルです:主幹教諭などに昇任した場合や、民間経験を経て採用された場合(経験加算)は、これより高くなります。
- 教職調整額は現在の5%で計算しています:2031年にかけて段階的に10%へ引き上げ予定なので、その分この年収は今後増えていきます。
- 扶養手当・住居手当・通勤手当などは含めていません:家族構成や住まいで人により大きく変わるためです(他県の記事と同じ前提)。
- 数字は「その時点の公式データ」です:各県とも今後の勧告で給料表が動くため、シリーズの比較は「その時点の公式データ同士」の比較になります。
- 手取りは家族構成で変わる:手取り率77%は概算です。独身なら少し下がり、控除が多ければ上がります。
まとめ
✅ この記事のまとめ(福岡県・高校教員・40歳モデル)
・額面年収 約686万円(毎月の給与 約494万+ボーナス 約192万)
・手取り年収 約528万円(手取り率 約77%)
・40歳の基本給は372,300円でシリーズ3位。神奈川より約1.4万円、東京より約2.5万円高い
・給与月額(教職調整額・地域手当込み)は約41.2万円、月の手取りは31〜32万円
・基本給は上位なのに、年収は4府県中で最下位。理由は地域手当が低いから
・地域手当は県内一律5.4%でシリーズ最低。福岡市の国基準6%が首都圏より低いのが背景
・2025年勧告は月例給・ボーナスとも引上げ。基本給で稼ぐ型なので底上げが効きやすい
・数字は給料表からの推計。昇任・家族構成・手当で変動します
東京(基本給安め×地域手当20%)・大阪(バランス型)・神奈川(一律12.45%)・愛知(基本給トップ×一律8.5%)・福岡(基本給は上位×一律5.4%)と並べてみると、同じ「公立高校の先生・40歳」でも県によって給料の「稼ぎ方の型」がぜんぜん違うことが見えてきます。福岡は「基本給は立派なのに、地域手当で損をしている」典型例でした。
このシリーズは47都道府県ぜんぶを目指しています。「うちの県もやってほしい」「実際の数字と違う!」があれば、ぜひXで教えてください。
※出典・データの根拠:福岡県人事委員会 令和7年「職員の給与等に関する報告及び勧告」/福岡県「福岡県の給与・定員管理等について(令和7年度)」の教育職給料表(二)2級81号給(大卒22歳採用・18年目相当として算出)・期末勤勉手当支給月数4.65ヶ月+教職調整額5%+地域手当5.4%で推計、および高等(特別支援)学校教育職の平均給料月額・地域手当支給割合。金額は前提条件により変動します。