1歳差なのに年収100万円差。課税証明を見比べた日
数年前、私がまだ地方で教員をしていた頃の話です。
あるとき、東京で教員をしている人と、お互いの課税証明書を見比べる機会がありました。歳の差は、わずか1歳。同じ「公立学校の教員」で、やっている仕事もほとんど同じ。
なのに——年収が、約100万円も違っていたんです。
正直、ショックでした。「同じ教員で、こんなに違うのか」と。当時の私は、その理由をちゃんと説明できませんでした。でも今なら、はっきり分かります。これは「地域差」です。そして、その正体には、ちゃんとしたカラクリがあります。
💡 この記事でわかること
・東京の教員の給料が高い「本当の理由」
・カギを握る「地域手当」の仕組み
・意外な事実:基本給の"表"はむしろ東京が低いこと
・「給料が高い=得」とは限らない理由
理由はシンプル。教員の給料は「勤務地」で決まる
まず大前提から。公立学校の教員は地方公務員です。つまり給料は、勤務する都道府県(や政令市)が条例で定める給料表に基づいて決まります。
国家公務員のように全国一律ではありません。「どの自治体で働くか」で、給料が変わるのです。これが、同じ教員でも年収に差が出る根っこの理由です。
「教員の給料は全国だいたい同じ」と思っている人は多いです。私もそうでした。でも実際は、勤務地でけっこう変わります。
東京が高い最大の理由=地域手当(最大20%)
では、なぜ東京が突出して高いのか。最大の理由は「地域手当」です。
地域手当とは、その地域の物価や民間賃金の水準に応じて、給料に上乗せされる手当です。物価の高い都市部ほど高く設定され、東京は最高の「20%」。一方で、地域手当が0%の地域もあります。
ここで効いてくるのが、地域手当は「基本給」だけでなく「ボーナス」の計算にも乗るという点です。期末・勤勉手当(ボーナス)も、地域手当を含んだ額をベースに計算されます。
つまり、地域手当20%は——
- 毎月の給料に+20%
- 年2回のボーナスにも+20%
と、年間を通じて効き続けるのです。これが積み重なると、年収ベースで数十万円〜100万円規模の差になります。
意外な事実:東京は「基本給の表」はむしろ低い
ここからが、調べてみて私自身が驚いたところです。
「東京は給料表そのものが高いんだろう」と思いますよね。ところが、逆でした。
各都道府県の高校教員の給料表(基本給)を、同じ条件(大卒で採用された人の40歳時点)で比べてみると、こうなります。
| 都道府県 | 40歳時点の基本給(給料表の額) |
|---|---|
| 栃木 | 約383,000円 |
| 福島 | 約380,000円 |
| 大阪 | 約377,000円 |
| 埼玉 | 約372,000円 |
| 東京 | 約348,000円 |
※大卒採用・40歳時点で揃えた、各自治体の高等学校教育職給料表の基本給の比較(現役教員調べ)。
そう、基本給の「表」だけ見ると、東京はむしろ低いほうなんです。地方のほうが基本給は高いことすらあります。
📌 これは偶然ではありません。地域手当が高い東京は、基本給を抑えめにしておき、地域手当でしっかり上乗せする設計になっているのです。逆に、地域手当が少ない地方は、その分を基本給そのもので確保している、というわけです。
だから年収で100万円の差がつく
整理すると、東京の教員の年収が高いカラクリはこうです。
- 基本給の表は、むしろ控えめ
- でも、そこに地域手当20%が乗る
- しかも地域手当はボーナスにも効く
- 結果、年収ベースで大きな差になる
ざっくり言えば、年収のうち2割近くが「地域手当」という上乗せ。地域手当ゼロの地方と比べれば、年収100万円の差が生まれても不思議ではありません。あの日、課税証明書で見た100万円差の正体は、まさにこれだったわけです。
当時の私は「東京の人は給料表が特別なんだ」と思っていました。でも本当は、給料表(基本給)はむしろ私の地域のほうが高かった。差をつけていたのは、ほぼ「地域手当」だったんです。
「物価が高いから相殺」…は、本当か?
こう言うと、よく返ってくるのが「でも東京は物価が高いから、結局チャラでしょ」という意見です。たしかに家賃だけは、東京は明確に高い。ここは固定費としてのしかかります。
でも、正直に言うと、私はこの"相殺論"を鵜呑みにできません。なぜなら——都会は「激安の選択肢」もめちゃくちゃ多いからです。
安い大型スーパー、業務スーパー、激安の飲食チェーン、フリマ・中古市場、無料・格安のイベント……。高い店もあるけれど、「安く済ませる手段」も地方より圧倒的に揃っているのが都市部です。つまり、生活費は工夫次第でいくらでも抑えられる。
💡 「給料が高い」+「選択肢が多い」は、やっぱり強い
収入が高いうえに、節約も贅沢も自分で選べる。この選択肢の多さこそ、都市部で働く大きなメリットだと私は思っています。固定費(特に家賃)さえコントロールできれば、高い年収はそのまま強みになります。
もちろん、地方には地方の良さ(家賃の安さ、通勤の楽さ、自然)があります。どちらが正解という話ではありません。ただ、「東京は物価が高いから損」と単純に言い切るのは違う、というのが私の実感です。
結局のところ、勤務地で決まる年収に一喜一憂するより大事なのは、その年収から「いくら残して、いくら増やすか」。高い給料も、選択肢の多さも、活かすかどうかは自分次第です。教員は収入が安定している分、ここを仕組み化できる人が強いと思っています。
まとめ
✅ この記事のまとめ
・教員は地方公務員。給料は勤務する自治体の給料表で決まる
・東京の教員が高い最大の理由は地域手当(最大20%)
・地域手当は基本給にもボーナスにも乗るので、年間で大きな差に
・意外にも基本給の"表"は東京がむしろ低い。地方のほうが高いことも
・東京は「低い基本給+高い地域手当」、地方は「高い基本給+低い地域手当」の設計
・「物価が高いから相殺」は単純化しすぎ。都会は激安の選択肢も多く、高年収+選択肢の多さは強み(固定費=家賃さえ抑えれば◎)
同じ「公立教員」でも、勤務地で年収は大きく変わります。でも、本当に差がつくのはその給料をどう使い、どう増やすか。数字のカラクリを知ったうえで、自分の家計を設計していきましょう。