「教員は退職金があるから老後は安心」
よく言われます。でも、実際いくらもらえるか、ちゃんと計算したことありますか?
私はずっとなんとなく「定年まで働けば2,000万円くらいもらえるんじゃないか」と思っていました。でも改めて調べてみると、思っていたより複雑で、思っていたより条件によって差が出る話でした。
今回は、教員の退職金の仕組み・相場・注意点をぶっちゃけ整理します。
1. 退職金の仕組み:給料月額 × 支給率
公立学校の教員(地方公務員)の退職金は、各都道府県の条例で定められています。計算式は概ね以下のとおりです。
💡 退職金の基本計算式
退職金 = 退職時の給料月額 × 支給率
※ 支給率は「勤続年数」と「退職理由(定年・自己都合など)」によって変わる
ポイントは2つです。
- 退職時の給料月額:職級・号俸によって決まる。長く働くほど上がる
- 支給率:勤続年数が長いほど高くなる。定年退職は自己都合退職より大幅に高い
つまり、同じ年数働いても「定年退職か・自己都合退職か」で金額が大きく変わります。
2. 勤続年数別の支給率
退職金は「給料月額 × 支給率」で決まります。支給率の目安はこちらです。
| 勤続年数 | 定年退職の支給率 | 自己都合退職の支給率 |
|---|---|---|
| 10年 | 約11〜12倍 | 約6〜7倍 |
| 20年 | 約23〜24倍 | 約17〜18倍 |
| 30年 | 約38〜40倍 | 約31〜32倍 |
| 40年以上(定年) | 約49〜50倍(上限) | — |
※ 都道府県・職級によって異なります。国家公務員の基準をもとにした参考値です。
💡 自分の退職金を計算してみる
退職金の目安 = 今の給料月額 × 支給率
たとえば給料月額35万円・勤続20年で自己都合退職の場合:
35万円 × 17〜18倍 = 約595〜630万円
同じ20年でも、退職時の給料月額が40万円なら約680〜720万円になります。退職時の給料月額で大きく変わるのがポイントです。
⚠️ 自己都合退職は支給率が大幅に下がる
勤続10年の場合、定年退職の支給率が約11〜12倍に対して、自己都合退職は約6〜7倍と半分近くに落ちます。さらに退職時の給料月額も若い分だけ低いので、実際の受取額はかなり少なくなります。「途中で辞める可能性がある人」は、退職金を老後の柱にするのは危険です。
💡 これ、他人事じゃない話です
私自身、一度、自己都合で退職しています。今の職場での勤続年数はリセットされているので、次の退職まで20年もありません。「退職金でなんとかなる」という感覚が持てないぶん、自分で資産形成しないといけないという危機感は人一倍大きいです。
3. 定年まで働いた場合の目安
「定年まで働けばどのくらいもらえるのか」について、もう少し具体的に見ておきます。
公立学校教員の定年は、現在60歳から65歳へ段階的に引き上げ中です(2031年度に65歳へ完全移行予定)。仮に22歳採用・65歳定年で43年勤務した場合、退職金は概ね2,000〜2,500万円前後が目安とされています。
ただし、ここには注意点があります。
- 退職金には所得税・住民税がかかる(退職所得控除があるので全額ではないが)
- 近年、退職金水準は少しずつ下がっている自治体も多い
- 60歳以降は定年延長により給与が約70%に下がるため、退職時の給料月額も下がる可能性がある
💡 退職所得控除とは?
退職金は全額が課税されるわけではなく、「退職所得控除」が差し引かれます。勤続20年を超える場合、1年につき70万円の控除が受けられます。勤続38年なら控除額は約2,060万円。退職金が2,200万円なら課税されるのは140万円だけ、という計算になります。
4. 「安心」と思ってはいけない3つの理由
「退職金があるから老後は安心」と思いがちですが、私は手放しに安心していません。理由はこの3つです。
① 退職金は「一括でもらえるお金」で、増えない
退職金は定年時に一括でもらえますが、受け取った後の運用を考えないと普通預金に眠るだけです。老後20〜30年を生きるには、2,000万円を「ただ持っている」だけでは足りないかもしれない。
インフレが続けば実質的な価値は下がります。受け取った後の使い方・運用を考えておく必要があります。
② 60歳以降は給与が下がり、退職金は65歳まで受け取れない
2023年度から定年が段階的に65歳へ引き上げられています。60歳以降も退職せずに継続勤務できますが、給与は60歳時点の約70%水準に下がります。退職金は実際に退職するまで受け取れないため、65歳まで「給与が下がった状態」で働き続けることになります。収入が減る60代前半の家計設計も、早めに考えておく必要があります。
③ 途中退職すると激減する
先ほどの表で見たとおり、自己都合退職だと退職金は半分以下になることもあります。転職・早期退職を視野に入れている人は、退職金をアテにした老後設計は危険です。
⚠️ 私が不動産投資を始めた理由のひとつ
「教員を定年まで続けられる保証はない」と思ったことが、給与以外の収入源を持とうと動き出したきっかけでもあります。退職金がある前提で老後を考えることへの不安が、背中を押しました。
→ 教員が不動産投資を始めた話【銀行属性が強みになる】
5. 退職金 × NISAの考え方
退職金は「もらったときに大きなお金が入ってくる」イベントです。それまでの間に資産をどれだけ作っておけるかが、老後の安心度を大きく変えます。
私がNISAを続けている理由のひとつは、「退職金を受け取ったときに、すでに投資資産がある状態にしておきたい」からです。
たとえば、月3万円を20年間NISAで積み立てた場合(年利5%想定)、元本720万円が約1,200万円超になる可能性があります。退職金2,000万円+NISA1,200万円で3,200万円。これがあるかないかで、老後の選択肢が全然違います。
| 積立額(月) | 積立期間 | 元本 | 想定資産(年利5%) |
|---|---|---|---|
| 月1万円 | 20年 | 240万円 | 約411万円 |
| 月3万円 | 20年 | 720万円 | 約1,233万円 |
| 月5万円 | 20年 | 1,200万円 | 約2,055万円 |
※ 上記は参考シミュレーションです。運用結果を保証するものではありません。
✅ 退職金を「ゴール」にしない考え方
退職金は「スタートライン」のお金。それまでにNISAや不動産などで資産を作っておき、退職金は追加の安心材料として受け取る。そういう設計が理想だと思っています。
6. まとめ
📌 この記事のまとめ
- 教員の退職金は「給料月額 × 支給率」で計算される
- 支給率は勤続年数・退職理由で決まる。定年40年超で約49〜50倍、勤続10年自己都合で約6〜7倍
- 退職時の給料月額も人によって異なるため、同じ勤続年数でも実際の金額は変わる
- 退職金には税金がかかるが、退職所得控除でかなり抑えられる
- 「退職金があるから安心」は危険。増えないし、途中退職リスクもある
- 退職金を受け取るまでにNISA等で資産を作っておくことが重要
「退職金があるから大丈夫」と思って何もしないのが一番リスクが高いと私は思っています。退職金はあくまで一つの柱。それ以外の柱をどれだけ作れるかが、老後の安心感を決めます。
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