こんにちは、けいです。
匿名の質問箱に、こんな質問をいただきました。
「学校の先生で、一生臨時講師という方はいますか? ずっと講師でも、生活に困らず生きていけるのでしょうか?(採用試験に受かる気がしなくて、兵庫県の2次試験で落ち続けています。)ちなみに、お恥ずかしいことに臨時講師7年目です。」
毎年「来年はどうなるんだろう」と思いながら、それでも7年間、現場に立ち続けてきた方からの質問です。同じように講師を続けながら試験を受けている人、講師のままでいこうか迷っている人も、きっと多いと思います。
答えを先に言うと、一生講師で働く先生は実際にいますし、独身でぜいたくをしなければ、生活していける分は稼げます。兵庫県の講師の給料は、45歳ごろに額面で月36万円台(手取り28万円前後)まで上がって、そこで止まります。
ただ、教諭を目指しているなら話は別です。2次試験で落ちているということは、1次を通る力はもうあるということ。足りないのは「人に見てもらう練習」かもしれません。
📌 この記事でわかること
- 講師の給料だけで生活していけるか——兵庫県の数字で確認
- 教諭との差は、何歳でどれくらい開くか
- お金よりもしんどいかもしれない「講師を続ける」ことの現実
- 2次試験で落ち続けているときに、やってほしいこと
- 講師を続けると決めたときの、お金の守り方
結論:一生講師の先生はいる。生活もできる
講師のまま、長く働き続けている先生は実際にいます。「一生講師」という働き方は、ちゃんとある道です。
お金の面でも、兵庫県の講師(期限つきの常勤講師)なら、こうなります。
| 項目(10月の勧告どおりに改定された場合) | 金額 |
|---|---|
| 1年目の月の額面(大卒・地域手当4.4%・担任あり) | 294,741円(手取り約24.9万円) |
| 上限のときの月の額面(小中学校の表・同上) | 364,315円(手取り28万円前後) |
| 上限のときの年収 | 約606万円 |
| 上限に届く年齢(大卒22歳・ふつうの昇給) | 45歳ごろ |
独身で、ぜいたくをしなければ、十分に暮らしていける金額です。「講師だと生活できない」ということはありません。
ただし、これは「教諭になれなくても生きていける」という話です。教諭を目指しているなら、試験はきちんと対策すれば受かる試験だと、私は思っています。
講師の給料で生活できる?——兵庫県の数字
兵庫県の講師は「1級」という給料表で、教諭は「2級」です。講師の1級には上限があって、小中学校の表では1級113号給=月327,600円(勧告どおりに改定された場合)で頭打ちになります。
上限に届いたときの月の額面は、勤務地の地域手当によって変わります(学級担任ありの場合)。
| 地域手当 | 主な勤務地 | 月の額面 | 年収の目安 |
|---|---|---|---|
| 9.4% | 神戸市・尼崎市・西宮市・芦屋市・伊丹市・宝塚市など | 381,514円 | 約635万円 |
| 6.4% | 姫路市・明石市・川西市 | 371,194円 | 約617万円 |
| 4.4% | そのほかの県内すべての市町 | 364,315円 | 約606万円 |
ボーナスも、教諭と同じ年4.70か月分(勧告どおりの場合)が出ます。一人で暮らしていくには、困らない水準です。
くわしい計算は、兵庫県の講師(期限つき)の給料の上限はいくら?と兵庫県の講師の初任給の記事にまとめています。
📰 金額は、2026年10月14日の兵庫県人事委員会の勧告どおりに給料表が改定された場合です。神戸市立の学校の講師は、神戸市の採用で給料の表も別です(神戸市の講師と教諭の給料の差)。
教諭との差は、年齢とともに開く
「生活できる」と「教諭と同じくらいもらえる」は、別の話です。講師と教諭の差は、20代は小さいのですが、30代から大きく開きます。大卒22歳でスタートして、毎年ふつうに昇給した場合の給料(基本給)の差です(小中学校の表)。
| 年齢 | 講師と教諭の給料の差(月) |
|---|---|
| 22歳 | 10,500円 |
| 25歳 | 13,100円 |
| 30歳 | 33,400円 |
| 35歳 | 54,000円 |
| 40歳 | 70,500円 |
| 45歳 | 83,700円(講師はここで上限) |
| 50歳 | 98,500円 |
| 55歳〜 | 104,800円 |
ボーナスや手当も給料に連動するので、年収で比べると差はもっと大きくなります。地域手当4.4%・担任ありで計算すると、40歳で年収約130万円、45歳で約155万円の差です。
講師7年目なら、大卒ストレートで29歳前後。ちょうど差が開きはじめる時期です。ここから先の10年、20年を考えると、「教諭になるかどうか」はお金の面でも大きな分かれ道になります。
お金よりしんどいかもしれないこと
正直に言うと、講師を続けるときにしんどいのは、お金よりも気持ちの面だと思います。
毎年「来年はどこで働くんだろう」
講師は1年ごとの任用です。年度末が近づくたびに、来年もどこかの学校で働けるのか、どの学校になるのか、という不安がついてきます。引っ越しや通勤、家族の予定にも関わるので、人生の計画が立てにくくなります。
責任ある部署を任されにくい
講師は、学校の中で長く続く仕事や、責任ある部署を任されることがあまりありません。「もっとこういう仕事がしたい」と思っても、立場の上でできないことがあります。経験を積むほど、もどかしさを感じる人も多いと思います。
教諭を目指している間は、気持ちが休まらない
試験を受け続けている間は、「今年こそ」と「また落ちたら」の間を毎年行ったり来たりすることになります。教諭を目指しているのであれば、この状態が何年も続くこと自体が、精神的にしんどくならないかが心配です。
💡 だからこそ、「一生講師でいく」と決めるのも、「今年こそ受かる」と決めるのも、どちらでもいいので自分で決めることが大切だと思います。どっちつかずのまま年数が過ぎるのが、いちばんしんどいからです。
講師7年目は、恥ずかしいことではない
質問の最後に「お恥ずかしいことに臨時講師7年目です」とありました。まったく恥ずかしいことではありません。
毎年ちがう学校、ちがう生徒、ちがう職員室の中で、7年間授業と学級を回してきたのは、立派な経歴です。講師がいなければ回らない学校は、たくさんあります。
お金の面でも、講師の年数は無駄になりません。教諭に採用されると、講師の経験年数が加算されて、新卒より上の号給からスタートします。7年分の経験は、合格した瞬間から給料に反映されます。
2次試験で落ち続けている人へ——人に見てもらう
「受かる気がしない」とありましたが、2次試験まで進んでいるということは、筆記の1次試験を通る力はもうあるということです。あとは、面接や模擬授業での「見せ方」の問題です。
採用試験は、きちんと対策をすれば受かる試験だと私は思っています。そして、2次試験の対策でいちばん大事なのは、ひとりで練習しないことです。
- 職場の管理職にお願いする。 校長先生・教頭先生は、面接する側の目線を知っています。思い切って「面接の練習を見てもらえませんか」とお願いしてみてください。模擬授業も、一度見てもらうだけで直すところがはっきりします。
- 塾や講座に通う。 教員採用試験の対策塾や講座では、面接・模擬授業の練習を、何度もくり返しできます。お金はかかりますが、教諭との年収差を考えれば、元は取れる投資です。
- 同僚や、合格した知り合いに見てもらう。 最近合格した先生は、試験の雰囲気をよく知っています。自分では気づかないくせや話し方を指摘してもらえます。
人に見てもらうと、劇的に変わります。自分では「ちゃんと話せている」と思っていても、聞く側からは伝わっていないことがよくあります。
そして、7年分の現場経験は、面接でいちばんの武器になります。「こういう生徒がいて、こう関わって、こう変わった」という具体的な話は、新卒の受験者には話せません。その経験を、人に聞いてもらいながら、伝わる形に整えていってください。
講師を続けると決めたら——お金の守り方
講師のまま働くと決めた場合は、45歳ごろで給料が止まることを前提に、家計を組み立てておくと安心です。
- 収入が上がる20〜40代のうちに、積み立てを始める。 年収600万円台でも、支出を整えて積み立てれば、資産は十分に作れます(教員のNISA積立)。
- 老後の準備を、自分で上乗せする。 毎月の掛金が所得から引かれて、税金も安くなるiDeCoも選択肢です(教員のiDeCo)。
- 保険に入りすぎない。 毎月の固定費を小さくしておくと、任用の空いた月があっても慌てずにすみます(保険よりNISA)。
よくある質問
Q. 講師のまま定年まで働くことはできますか?
A. 講師は1年ごとの任用なので、毎年任用されるかどうかは、そのときの学校の事情によります。それでも、講師のまま長く働いている先生は実際にいます。
Q. 講師の給料は、どこまで上がりますか?
A. 兵庫県の小中学校の表では、1級113号給(勧告どおりなら月327,600円)が上限で、大卒22歳スタートなら45歳ごろに届きます。高校の表は上限が高いものの、55歳で昇給が止まります。くわしくは講師の給料の上限の記事へ。
Q. 講師から教諭になったら、給料はどうなりますか?
A. 講師の経験年数が加算されて、新卒の2級17号給より上の号給からスタートします。何号給になるかは経歴によるので、採用時の通知で確認してください。
Q. 何年も2次試験に落ちています。もうあきらめたほうがいいですか?
A. 1次を通っているなら、筆記の力はあります。ひとりで練習していたなら、管理職や塾など、人に見てもらう練習に切り替えてみてください。それでも「講師でいく」と自分で決めたなら、それも立派な選択です。
まとめ
✅ 一生講師でも生きていける? 3行まとめ
・一生講師の先生は実際にいる。兵庫県なら上限で額面月36万円台・年収約606万円(4.4%・担任あり)で、独身でぜいたくしなければ生活はできる
・ただし教諭との差は30代から開き、45歳で月8.4万円・年収約155万円。お金より「毎年の任用の不安」「責任ある仕事を任されにくい」ことのほうがしんどいかもしれない
・2次で落ちているなら1次の力はある。管理職・塾・同僚に「人に見てもらう」練習で劇的に変わる。7年分の現場経験は面接の武器になる
質問をくださった方、ありがとうございました。一生講師という道も、ちゃんとあります。でも「受かる気がしない」だけで決めてしまうのは、もったいないと思います。心から応援しています。
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出典(公式データ)
- 兵庫県人事委員会「令和8年 職員の給与等に関する報告及び勧告」(2026年10月14日)——中学校・小学校教育職給料表(1級113号給327,600円)、期末手当・勤勉手当の年4.70か月分への引上げ
- 兵庫県「公立学校教育職員等の給与に関する条例」——地域手当(9.4%・6.4%・4.4%)、55歳に達した後の昇給の制限
- 兵庫県「公立学校教育職員等の給与に関する規則」——初任給基準表(講師〔大学卒〕1級21号給・教諭〔大学卒〕2級17号給)、経験年数の加算
- ※金額の計算方法と前提は講師の給料の上限の記事・講師の初任給の記事と同じです(独身・扶養なし・学級担任あり、大卒22歳で採用され毎年4号給昇給した場合の概算。勧告どおりに改定された場合の金額で、条例の改正により変わります。2026年10月26日確認)