こんにちは、けいです。都道府県別・教員給料シリーズ、第25弾は岐阜県。シリーズ2位の愛知のお隣、東海2県目です。
先に結論を言うと、岐阜の高校教員(40歳モデル・岐阜市勤務)の年収は額面 約705万円・手取り 約543万円。調べた24都道府県の中で11位でした。
今回おもしろいのは、給料表です。岐阜の40歳の基本給は396,000円で、1位の愛知とわずか2,000円差のシリーズ2位。なのに年収は、お隣の愛知と約50万円も違います。犯人はやっぱり地域手当。しかも岐阜県は、国の基準より県庁所在地の岐阜市をわざわざ低くして、その分を県内全域に配るという、ちょっと珍しい選択をしていました。今回も公式データだけで全部計算していきます。
結論:岐阜の教員、40歳の年収はこれだ
| 項目 | 岐阜市勤務 | 県内その他(1%地域) |
|---|---|---|
| 月給(額面) | 約423,280円 | 約419,960円 |
| ボーナス(年間) | 約197万円 | 約195万円 |
| 年収(額面) | 約705万円 | 約699万円 |
| 年収(手取り) | 約543万円 | 約538万円 |
モデルは、シリーズ共通の「40歳・県立高校教諭(2級81号給)」。岐阜は勤務地で地域手当が変わるので、岐阜市(1.8%)と県内その他の市町村(1%)の2パターンを出しました。ランキングには、県庁所在地の岐阜市モデルを使います。月給の内訳はこうなっています。
| 内訳 | 岐阜市 | 県内その他 | メモ |
|---|---|---|---|
| 給料(基本給) | 396,000円 | 396,000円 | 教育職給料表(二)=高等学校 2級81号給・シリーズ2位 |
| 教職調整額(5%) | 19,800円 | 19,800円 | 残業代の代わりに一律支給 |
| 地域手当 | 7,484円(1.8%) | 4,158円(1%) | (給料+教職調整額)×支給割合 |
| 合計 | 423,284円 | 419,958円 |
基本給はトップクラス。でも3行目の地域手当は、岐阜市でも7,484円です。この「上は高いのに、手当が薄い」形が、岐阜の年収を決めています。
計算方法:使うのは公式データだけ
岐阜県の公式データから、40歳モデルの年収を計算します。
- 396,000円:岐阜県の教育職給料表(二)〔高等学校〕・2級81号給(令和7年勧告後)。シリーズ2位です(次章)
- × 1.05:教職調整額5%(全国共通)
- 1.8%:地域手当(岐阜市・令和8年度)。岐阜市以外の県内市町村は1%です(第4章)
- 4.65ヶ月:ボーナス(第6章)
396,000 × 1.05 = 415,800円。これに地域手当1.8%を乗せると423,284円。16.65ヶ月分にすると——約7,048,000円(約705万円)です。県内その他(1%)なら 419,958円 × 16.65 = 約699万円。
給料表は396,000円——愛知に2,000円差のシリーズ2位
まず基本給から。岐阜の40歳(2級81号給)の給料は396,000円。1位の愛知(398,000円)とはわずか2,000円差で、これまで2位だった高知(393,400円)を2,600円上回り、給料表ランキングの2位に入りました。
| 順位 | 都道府県 | 40歳の給料表(2級81号給) |
|---|---|---|
| 1位 | 愛知 | 398,000円 |
| 2位 | 岐阜 | 396,000円 |
| 3位 | 高知 | 393,400円 |
| 4位 | 鹿児島 | 393,000円 |
| 5位 | 京都 | 392,600円 |
| 6位 | 宮城 | 391,900円 |
| 7位 | 愛媛 | 391,210円 |
| 8位 | 広島 | 390,700円 |
| 9位 | 大阪 | 389,000円 |
| 10位タイ | 香川・沖縄・徳島・茨城・栃木・群馬・青森 | 388,800円 |
| 17位 | 北海道 | 381,190円 |
| 18位 | 福島 | 379,800円 |
| 19位 | 兵庫 | 371,200円 |
| — | 東京 | 347,700円 |
東海の2県で並べると、愛知398,000円・岐阜396,000円。基本給の時点では、ほぼ互角です。「お隣の愛知と、給料はほとんど同じ」。ここまでは岐阜の先生にとっていい話なのですが、この先で差がつきます。
💡 396,000円は令和7年勧告後の数字です。岐阜県人事委員会の令和7年勧告(2025年10月9日)は、民間との較差10,988円(2.91%)を埋める引き上げ。若年層に重点を置きつつ、中堅層以上も昨年を上回る引き上げで、今年から民間給与の比較対象を「企業規模50人以上」から「100人以上」に見直しています。
地域手当は岐阜市1.8%・県内どこでも1%——国の基準より岐阜市を下げた県
今回の主役、地域手当です。岐阜県人事委員会の令和7年報告に、令和8年度の支給割合が載っています。
| 勤務地 | 岐阜県の支給割合(令和8年度) | (参考)国の制度 |
|---|---|---|
| 岐阜市 | 1.8% | 4% |
| 岐阜市以外の県内市町村 | 1% | 0% |
国の新しい基準(令和7年度から都道府県単位に再編)では、岐阜県は県全体が非支給地で、岐阜市だけが4%。つまり国に合わせるなら「岐阜市4%・それ以外0%」です。
ところが岐阜県は、岐阜市を国より低い1.8%に下げて、その分で県内すべての市町村に1%を配りました。人事委員会の報告には、理由がこう書かれています。
- 県の職員は、引っ越さずに勤務地だけが変わることが多い。市町村ごとに極端な差をつけると、人事異動がしにくくなる
- だから県内全域を支給地域にする考え方を基本にする
- ただし、国の基準どおりに払った場合の支給総額を超えない範囲で調整する
総額は国の基準の範囲に収めたまま、配り方だけを「ならした」わけです。宮城(仙台市を国の7%→5%に下げ、他を0%→1.5%)や兵庫でも見た"ならし"型ですが、岐阜は県庁所在地の割合が国の半分以下という、かなり思い切った形です。
しかも、ここに来るまでに段階を踏んでいます。
| 時期 | 岐阜市 | 大垣・多治見・美濃加茂・各務原・可児・瑞穂 | その他の市町村 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度まで | 3% | 3% | 1% |
| 令和7年度(経過措置) | 2.4% | 2% | 1% |
| 令和8年度 | 1.8% | 1% | 1% |
岐阜市と6市は、2年かけて3%から下がってきました。一方で、「その他の市町村」の1%は一度も下がっていません。国の見直しで0%になるはずだった地域の1%を、県が守った形です。この見直しは、岐阜県人事委員会として初めての「第二次勧告」(2024年12月)で決まりました。
結果として、岐阜市とそれ以外の年収差は年約6万円しかありません。
| 勤務地 | 地域手当 | 年収(額面) |
|---|---|---|
| 岐阜市 | 1.8% | 約705万円 |
| 県内その他 | 1% | 約699万円 |
| (もし国の基準どおりなら)岐阜市 | 4% | 約720万円 |
| (もし国の基準どおりなら)その他 | 0% | 約692万円 |
国の基準なら岐阜市と郡部の差は約28万円。それを約6万円まで縮めたのが岐阜方式です。
お隣の愛知と、なぜ50万円も違うのか
ここがいちばん伝えたいところです。基本給はほぼ同じなのに、年収はこうなります。
| 県 | 給料表(2級81号給) | 地域手当 | 年収(額面) | 順位 |
|---|---|---|---|---|
| 愛知 | 398,000円(1位) | 8.5% | 約755万円 | 2位 |
| 岐阜(岐阜市) | 396,000円(2位) | 1.8% | 約705万円 | 11位 |
差は年約50万円。内訳を分けると、
- 基本給の差:2,000円 × 1.05 × 16.65ヶ月 ≒ 約3.5万円
- 地域手当の差(8.5%と1.8%):約47万円
つまり、50万円のうち9割以上が地域手当の差です。同じくらいの給料表なのに、県境を1本またぐだけで、手当の割合が5倍近く変わる。「教員の年収は本給ではなく手当で決まる」というこのシリーズの結論が、いちばんくっきり出たのが東海の2県でした。
💡 愛知の8.5%は県内一律の独自の割合です(詳しくは愛知の記事)。岐阜と愛知の県境近くに住む先生にとっては、どちらの県で採用されるかで、40歳時点で年50万円前後の差になる計算です。
ボーナスは4.65月——較差2.91%の引き上げ
ボーナス(期末手当+勤勉手当)は年4.65ヶ月分。令和7年の勧告で4.60月から0.05月引き上げられ、シリーズの多数派である「4.65月」に並びました。
県内その他(1%)なら約195万円。給料表が高いので、地域手当が薄くてもボーナスは200万円近く出ます。民間との比較では、民間の支給割合4.66月に対して職員4.60月で0.06月の差があり、それを埋める形の引き上げでした。
手取りはいくら?
額面705万円(岐阜市勤務)から社会保険料と税金を引くと、こうなります。
| 項目 | 金額(年間) |
|---|---|
| 額面年収 | 約705万円 |
| 社会保険料 | ▲約102万円 |
| 所得税・住民税 | ▲約60万円 |
| 手取り年収 | 約543万円 |
月あたりにならすと、手取りは月約32.6万円+ボーナス手取り約152万円というイメージです。県内その他(1%)なら手取り約538万円。(概算の考え方は解説記事へ。扶養や控除で個人差があります)
24都道府県ランキング
岐阜を加えた最新ランキング。岐阜(岐阜市モデル)は栃木と神奈川の間、11位に入りました。
| 順位 | 都道府県 | 額面年収 | 手取り |
|---|---|---|---|
| 1位 | 大阪 | 約763万円 | 約587万円 |
| 2位 | 愛知 | 約755万円 | 約578万円 |
| 7位 | 宮城 | 約719万円 | 約554万円 |
| 8位 | 埼玉 | 約716万円 | 約551万円 |
| 9位 | 兵庫 | 約710万円 | 約547万円 |
| 10位 | 栃木 | 約707万円 | 約544万円 |
| 11位 | 岐阜(岐阜市) | 約705万円 | 約543万円 |
| 12位 | 神奈川 | 約703万円 | 約540万円 |
| 13位 | 香川 | 約701万円 | 約539万円 |
| 14位 | 群馬 | 約699万円 | 約538万円 |
(全24都道府県の一覧表と各県の記事はシリーズまとめページへ)
給料表2位の県が、年収では11位。これまで給料表2位だった高知が年収19位(今回から20位)だったのと同じ「ねじれ」ですが、岐阜は県内どこでも1%以上の地域手当がある分、真ん中まで踏みとどまりました。県内その他(699万円)でも、群馬と同じ14位相当です。
まとめ
✅ 岐阜の教員給与、3行まとめ
・40歳モデル(岐阜市勤務)の年収は額面 約705万円・手取り 約543万円で24都道府県中11位。県内その他の市町村なら約699万円
・給料表は396,000円で、愛知と2,000円差のシリーズ2位。なのに愛知とは年収で約50万円差、その9割以上が地域手当(8.5%と1.8%)の差
・国の「岐阜市4%/その他0%」を、岐阜市を1.8%に下げてまで県内全域1%にならした岐阜方式。県内の年収差は約6万円だけ
次回はどこにするか、まだ決めていません。「うちの県もやってほしい」というリクエストは、XのリプやYouTubeのコメントでぜひ。
💌 先生のお金の質問、匿名で受け付けています給料・手当・NISA・保険……職員室では聞きにくいことも、匿名・登録不要でどうぞ。いただいた質問にはブログや動画で(匿名のまま)答えます。→ 匿名で質問をおくる
出典(公式データ)
- 岐阜県人事委員会「令和7年 職員の給与等に関する報告及び給与改定に関する勧告」(2025年10月9日・月例給の公民較差10,988円〔2.91%〕を埋める引き上げ/期末・勤勉手当0.05月引き上げで年4.60月→4.65月/公民比較の企業規模を50人以上→100人以上に見直し)別記「ロ 教育職給料表(二)」(2級81号給396,000円)、報告 別表第4「令和8年度の地域手当の級地別支給割合」(岐阜市100分の1.8・岐阜市以外の県内市町村100分の1)
- 岐阜県人事委員会「令和7年 職員給与関係(令和7年人事・給与統計)」:教育職給料表(一)=大学に勤務する教員に適用(高等学校は教育職給料表(二))
- 岐阜県人事委員会「令和6年 職員の給与等に関する報告及び給与改定に関する勧告」(2024年12月19日・第二次勧告):国の新基準では岐阜県全体が非支給地・岐阜市のみ5級地(4%)。県は県内全域を支給地域とし、人事院基準の支給総額を超えない範囲で岐阜市1.8%・その他一律1%とする。令和7年度は経過措置として岐阜市2.4%・大垣市・多治見市・美濃加茂市・各務原市・可児市・瑞穂市2%(従前は7市3%・その他1%)
- ※教職調整額は国と同様、段階的に給料月額の10%へ引き上げ予定(本記事のモデルは現行5%で計算)。岐阜県には寒冷地手当・へき地手当がありますが、地域・学校で額が変わるためモデルには含めていません。手取りは社会保険料・税の概算(額面の約77%)です。金額は前提条件により変動します