こんにちは、けい先生です。今回から新シリーズを始めます。テーマは「非常勤講師の待遇、都道府県でどれだけ違う?」。第1弾は関東1都6県です。

きっかけは、SNSで非常勤講師の先生と給料の話をしたこと。「ボーナスが出ると思ってなかった」「隣の県の方が高いって本当?」——調べてみたら、これが正規教員の給料表よりずっと分かりにくい世界でした。

先に正直に言います。今回、順位は付けません。付けられないんです。なぜなら1都6県で報酬の「単位」がバラバラだから。時給の県、授業1コマいくらの県、週1コマにつき月額いくらの県——同じ土俵に乗っていません。だからこの記事は、各県の公表値をそのまま並べて、単位の違いごと見てもらうスタイルでいきます。いつもどおり、使うのは教育委員会の公式データだけです。

ℹ️ この記事の対象は公立高校(県立・都立)の非常勤講師(会計年度任用職員)です。金額は2026年8月2日時点の各教育委員会の公表資料(令和8年度)によります。実際の任用条件は必ず各教育委員会にご確認ください。

結論:1都6県の公表値をそのまま並べた一覧表

まずは全体像から。換算は一切していません。各都県が公表している数字を、公表されている単位のまま載せています。

都県公表されている報酬単位・方式
東京2,030〜3,630円勤務1時間あたり(経験年数で変動)
神奈川時間額 2,530〜2,705円勤務1時間あたり。ただし週の勤務時間=担当授業数×1.5で計算
埼玉月額 9,381円週1コマ(週1単位時間)につき
千葉月額 12,900円週1コマにつき(1コマ=週1時間40分の勤務として計上)
茨城2,870円1時間あたり(時間の定義は資料に明記なし)
栃木2,950円授業1コマあたり(普通免許の場合)
群馬——公表資料では確認できず

……見てのとおりです。「時給」の欄と「コマ単価」の欄と「月額」の欄が混ざっていて、そのままでは比べられない。でも、この「比べられない」こと自体が、非常勤講師の待遇問題の入口だと思っています。順番に見ていきましょう。

なぜ順位を付けないのか——「単位」が4タイプもある

1都6県の報酬の決め方は、大きく4タイプに分かれていました。

タイプ決め方該当
① 時間単価型勤務1時間×単価東京・茨城
② 時間単価×1.5型授業1コマを「1.5時間の勤務」とみなして時間単価を払う神奈川
③ 週コマ月額型週に持つコマ数×月額単価埼玉・千葉
④ コマ単価型授業1コマ×単価栃木

「じゃあ全部時給に換算すれば比べられるのでは?」と思いますよね。私も最初そう思いました。でも、やめました。理由は、換算すると必ずどこかで嘘になるからです。

たとえば月額型の県は夏休みや冬休みを挟んでも月額で支給されますが、授業をした分だけ払われる型では長期休業中の扱いがまったく変わります。授業の準備時間を報酬に含めるかどうかも県によって考え方が違う。単位をならして1つのランキングにした瞬間、こうした制度の違いが全部消えてしまうんです。だからこの記事は、公表値のまま・単位の注記付きで載せます。

東京:経験年数で時給2,030円→3,630円。ほぼ倍になる

東京都の時間講師(非常勤講師)は、勤務1時間あたり2,030円〜3,630円。この幅は何かというと、経験年数です。1年未満なら2,030円、17年以上で3,630円。同じ授業をしても、キャリアによって単価がほぼ倍まで変わります。

今回調べた中で、経験年数がここまではっきり単価に反映される仕組みは東京だけでした。ベテランの先生が非常勤として働くなら、この仕組みは大きいです。

そしてもう1つ、東京はボーナス(期末手当)があります。6月1日・12月1日に在籍していて、年度内の任用が6月以上などの要件を満たせば支給。「非常勤にボーナス」は当たり前ではないので(後述します)、これは明記されている東京の強みです。

神奈川:授業1コマに「1.5時間分」払う——準備時間にお金を出す型

神奈川県の非常勤講師は時間額2,530〜2,705円。数字だけ見ると普通ですが、注目はその計算ルールです。

💡 神奈川の「×1.5ルール」——週の勤務時間 = 担当する授業の単位数 × 1.5。つまり授業を1コマ持つと、1.5時間分の報酬が付きます。授業そのものの時間との差分は授業準備などにあてる時間という設計。「授業の外の仕事」にお金を払うと制度で明文化している、珍しい型です。

さらに神奈川は、週29時間・任期3月以上といった条件を満たす場合の月額の目安(237,256〜291,056円)まで公表しています。週15.5時間以上+任期6月以上なら期末手当もあり。情報の出し方が具体的で、働く前に生活の見通しを立てやすい県だと感じました。

埼玉vs千葉:同じ「週1コマ月額」方式なのに1.37倍差

今回いちばん驚いた比較がこれです。埼玉と千葉は、どちらも「週1コマ担当につき月額いくら」という同じ方式。方式が同じなら、金額は素直に比べられます。それがこちら。

週1コマあたりの月額フルに持った場合
埼玉9,381円
千葉12,900円週18コマで上限232,200円

同じ関東の隣どうし、同じ方式で、1.37倍の差。たとえば週10コマ持ったら、単純計算で埼玉93,810円、千葉129,000円——月3.5万円ほど変わってきます。

ただし1つ注記があります。千葉の資料では1コマ=「週1時間40分」の勤務時間として計上されています。授業そのものより長い勤務時間を見込んでいる、つまり神奈川と同じく準備時間込みの設計と読めます。埼玉の資料にはこうした記載が見当たらないので、「同じ週1コマ」の中身が完全に同一とは限りません。それでも、受け取る金額として1.37倍差があるのは公表値どおりの事実です。

ちなみに正規教員の年収比較(埼玉千葉)では埼玉716万円・千葉684万円で埼玉の方が上でした。正規は埼玉、非常勤は千葉。雇われ方によって「有利な県」が逆転する——これは今回の発見でした。

栃木・茨城:数字は似ているが「単位」が違う

栃木は2,950円、茨城は2,870円。数字は80円差でほぼ横並びに見えます。でも、単位を見てください。

金額単位(資料の記載)
栃木2,950円「授業一コマ当たり」(普通免許。臨時免許・免許なしは2,610円)
茨城2,870円「1時間」(それが授業時間か勤務時間かの定義は資料に明記なし

栃木は募集要項にはっきり「授業一コマ当たり2,950円」と書いてあります。時給ではなくコマ単価です。週の勤務も「授業時間数で定める」方式で、上限は普通免許で週16時間。授業50分=1コマと考えると、時間あたりに直せば見え方が変わるはずですが——ここでも換算はしません。制度が「コマにいくら」と言っているなら、それがその県の設計だからです。

茨城は「1時間2,870円」とだけ公表されていて、その1時間が授業時間なのか勤務時間なのかまでは資料から読み取れませんでした。応募前に確認すべきポイントです。

群馬:調べても出てこない

最後に群馬。……正直に書きます。県立学校の非常勤講師の報酬額は、公表資料では確認できませんでした

教育委員会の募集ページには職種と応募資格は載っていますが金額の記載がなく、給与のページも「詳しくは勤務先の学校事務職員にお尋ねください」という案内。つまり群馬で非常勤を考える場合、いくらもらえるかは問い合わせないと分からないのが現状です(学校人事課:027-226-4597)。

💡 これは群馬を責めたいわけではなくて、「公表の丁寧さ」自体が県によってこれだけ違うという話です。月額の目安まで出す神奈川から、金額非公表の群馬まで。働く場所を選ぶとき、この「情報の出し方」も立派な比較ポイントだと思います。

ボーナスが「ある県」と「書いていない県」

非常勤講師にとって切実なのがボーナス(期末手当・勤勉手当)。これも公表資料ベースで並べます。

都県ボーナスの記載
東京あり(6/1・12/1に在籍+年度内6月以上の任用などの要件)
神奈川あり(週15.5時間以上+任期6月以上で期末手当)
埼玉あり(任期6月以上+基準日在職で期末・勤勉手当)
千葉公表資料では確認できず(期末手当の明記は常勤の臨時的任用のみ)
茨城公表資料では確認できず
栃木県立学校向け募集要項には記載なし(通勤手当ありは明記)
群馬——(報酬額自体が非公表)

注意してほしいのは、「記載なし」=「出ない」とは限らないこと。条例や規程で定められていて募集資料に書いていないだけの可能性もあります。ただ、働く側が募集資料を読んで判断できるかどうかという点では、東京・神奈川・埼玉の「あり」の明記と、それ以外の差は大きい。年収ベースでは月給以上に効く項目なので、応募前に必ず確認してください。

まとめ

✅ 関東の非常勤講師の待遇、3行まとめ

・1都6県で報酬の単位が4タイプ(時給/×1.5時給/週コマ月額/コマ単価)に割れていて、単純なランキングは作れない
・同じ方式どうしなら比較可能:埼玉9,381円 vs 千葉12,900円(週1コマ月額)で1.37倍差
・ボーナスの明記は東京・神奈川・埼玉のみ。群馬は報酬額自体が非公表——「情報の出し方」まで含めて県で大差

正規教員の給料表は全国どこでも同じ構造で比べられるのに、非常勤講師は単位から情報公開のレベルまでバラバラ。「次年度どこで働こう?」と考えている先生にとって、この分かりにくさ自体が壁になっていると感じました。

このシリーズ、反応があれば関西編・東海編と各地方ブロックを順に調べていく予定です。「うちの地方をやってほしい」「うちの県はこうだったよ」という声は、XのリプやDMでぜひ教えてください。実際に非常勤で働いている方の実例は、公表資料より雄弁なことがたくさんあるので。

出典(公式データ・2026年8月2日閲覧)